
八重山毎日 不連続線
「直木賞の○○○、読んだかい? 俺、初版本持ってるんだぜ」。
何の自慢かが分からない。東京に進学した頃、群馬出身の友との会話。
つまり受賞決定前に読んだと、自分の目は確か、初版本の意味。
根ほり葉ほり尋ねて、やっと分かった
▼直木賞や芥川賞があることは知っていた。けれど、その違いを知らない南の島からぽっと出の私である。
ヤマトに驚いたのは電車で誰もが本や新聞、活字を読んでいること。
復帰前後の石垣の読書環境を差っ引いても、彼我の情報量や語いが違っていた。
読書量の差、誰もがそれを痛感したのではなかったか
▼活字離れの現代はどうだろう。津々浦々、猫も杓子もスマホをいじっていれば大差ないはず
▼平成最後の直木賞に真藤順丈さんの「宝島」(講談社)が選ばれた。
戦後から復帰までコザ暴動など史実をたどりつつ、米軍基地内の物資を奪う「戦果あぎやー」の生きざまを描いた。読み始めたばかりで、読了はいつかわからない長編
▼作者は東京生まれ。うちなーぐちの多用、沖縄の歴史に向き合う真摯(しんし)さ。
驚くとともにうれしくもある。全国で多くの人が読むはずだ。沖縄への理解が少しでも進めばいい
▼24日は辺野古埋め立ての県民投票。わした島沖縄の意思を示そう。取り戻すべき宝とは、誇りとは何か、考えよう。(慶田盛伸)
http://www.y-mainichi.co.jp/news/34994/