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内閣法制局は、法制面から内閣を補佐する政府の「法律顧問」だ。憲法解釈に意見を述べ、国会に提出する法案の合憲性などを事前審査する。
時の政権の意向に左右されず、専門的見地から法律上の見識を示すのが組織として本来の在り方だ。官僚の中でも最も中立性が求められる。
しかし、横畠長官が就任した2014年5月以降、法制局の姿が変節している。
14年7月の集団的自衛権行使を容認した閣議決定では、憲法解釈変更を手助けした。
歴代の法制局長官が「行使はできない」としてきた見解を横畠長官は大転換し、「必要最小限度の行使は憲法9条の下でも許される」とした。
15年の安全保障関連法の審議では、多くの憲法学者が違憲と主張する中、合憲論を繰り返した。
16年には「憲法上あらゆる核兵器の使用が禁止されているとは考えていない」との見解を表明した。
まさに「法の番人が安倍政権の門番に成り下がった」という野党の批判通りだ。
法制局は法治主義を忘れて、政権の顔色うかがいに奔走しているのではないか。今回の発言もその延長だ。
背景には恣意(しい)的な人事がある。集団的自衛権の行使を容認する際、政権は法制局未経験者であっても、意に沿う人物を長官に起用した。横畠氏の前任者である。
一強政権の下なら何でもできると、官僚が虎の威を借る狐と化している。
安倍首相の任命責任が厳しく問われる。
おしまい