「生理の貧困」をなくそうと英スコットランド議会は24日、タンポンやナプキンなど生理用品を無償で提供する法案を全会一致で成立させました。2016年に米ニューヨーク市が学校、ホームレスの避難所、刑務所で無償提供する法案を可決しましたが、すべて無償というのは世界で初めてだそうです。
17年8月から、この法案に取り組んできたのは野党・スコットランド労働党のモニカ・レノン議員(39)。成立したその日「スコットランドの誇るべき日です。全国どこででも無料で生理用品にアクセスできるというシグナルを世界に送ることができました」と喜びのツイート。
「新聞、靴下、トイレットペーパーでさえ、イギリスでは10人に1人の女性が利用できる“生理用品”のほんの一部です」
「若い女性がフードバンクに来て、カロリー不足による栄養不良で生理用品は不要と言った時、私の中に稲妻が走りました」
エイリーさんとイーワンさんは「生理用品を無償提供する時がやって来た」というサイトでこう訴えています。レノン議員もホームレスの人が路上で販売する雑誌ビッグイシューで「生理用品を十分な頻度で交換できなかったり、ボロ布で代用しなければならなかったりするのは屈辱的で危険です」と強調しています。
イギリスの学校、大学で生理用品へのアクセスを調査(17年度)したところ、26%が前年に生理用品にアクセスするのに困難を伴ったと回答。その場合70%がトイレットペーパーを代わりに使用すると答えました(複数回答)。女性が生涯で使用する生理用品は4800ポンド(約66万5千円)と推計されています。
また子宮内膜症に苦しんでいる人の場合、1日に使う生理用品の量は4倍にも6倍にものぼるそうです。
生理用品の無償提供も女性の貧困を解消する狙いがあります。
■日本でも女性に大きな打撃
コロナ危機は貧富の格差、世代の格差だけでなく、男女の格差も広げています。多くの女性が貧困の淵に追いやられているのは日本も例外ではありません。新型コロナウイルス感染症対策本部に11月21日に出された資料を見てみましょう。
コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会は「新型コロナウイルス感染症の拡大は、特に女性への影響が深刻であり“女性不況”の様相が確認される。女性就業者が多いサービス産業などが受けた打撃は極めて大きく、厳しい状況にある」と指摘しています。
■“女性不況”どころか“女性受難”
コロナ危機で“女性不況”どころか“女性受難”が浮き彫りになっています。米大手コンサルティング会社マッキンゼーの報告書によると、女性の仕事は男性の仕事よりもパンデミックに対して1.8倍脆弱です。女性は世界の雇用の39%ですが、失業の54%を占めていました。
女性の困難や障害を取り除く政策は経済のみならず社会全体にとっても良い政策だとマッキンゼーの報告書は強調しています。コロナ危機を逆バネにして男女共同参画に近づく努力が今こそ求められています。
(全文はWebで)
https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20201129-00210057/