利用者からはICカードの利用を希望する声も上がっていた。とはいえ、ICカードに対応した改札機に切り替えるには多大なコストがかかる。一方で顔認証システムは、「タブレット1台で運用できるので、利便性だけでなく、コストも抑えられる利点がある」(山万の担当者)という。
21年5月から約2年間、顔認証技術を持つ「パナソニックコネクト」(東京)、乗り換え案内検索大手で決済・チケット管理システムを提供する「ジョルダン」(同)と共同で実証実験を実施。利用した地域住民約100人からは、「子連れでも手を離さず通過できる」「現金を用意しなくていいので便利」などの肯定的な意見が寄せられ、本格導入を後押しした。
山万は15日以降、従来の切符と定期券は新規の販売をしない。顔認証システムを利用しない人は、駅の券売機でQRコードのついた乗車券を購入し、QR認証機にかざして乗り降りする。購入済みの定期券などは期限が切れるまで使用できる。
1970年代から、同ニュータウンの開発を続けてきた山万。今後は、顔認証システムで決済できる仕組みを周辺の商業施設や飲食店にも広げていきたい考えだ。担当者は「公共交通機関を足がかりとして、暮らしのあらゆる場面で顔認証が利用できる街づくりを進めたい」と話している。
顔認証の登録は15日午前4時半から、専用サイトでできる。駅窓口での申し込みも可能だ。
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