
未来の象徴と言っても過言ではない自動運転車。
ロマンがつまった自動運転技術ですが、今回新たなリスクが発覚したようです。
慶應義塾大学の研究チームは、自動運転車両に搭載されている「LiDAR センサーシステム」における脆弱性を発見しました。
自動運転車のセンサーを、遠距離攻撃で無効化できてしまうかもしれないというのです。
発見された脆弱性とは?
「LiDARセンサーシステム」とは、高精度な3D空間認識能力を持つ車両の周囲環境を正確に把握するためのセンサー技術であり、多くの自動運転システムに採用されているセンサーです。
今回の研究の実験では、LiDARセンサーを攻撃するシステムにより、時速60kmで走行中の車両に対して110m離れた地点からセンサーを無効化することができたとのこと。
これまで行なわれたセンサーに対する攻撃の実験は、低速で走る車両への近距離からの攻撃を想定したものであり、高速走行下での攻撃や遠距離からの攻撃はあまり検証がなされていませんでした。
加えて、今回の研究では、最新のLiDARセンサーに組み込まれた防御機構を回避できる攻撃の存在も発覚しました。
つまり、悪意のある攻撃によって、遠くから自動運転を妨害することができてしまうというわけです。
どんな実験が行なわれた?
実験で用いられた攻撃方法は、センサーの検出・追跡機構、高精度自動照準機構、レーザー攻撃機構から構成されたMVSシステムを使用するというもの。
この攻撃により、走行する自動運転車両のセンサーを無効化し、歩行者の認識などを消失させることが可能なんだそう。
また、オープンソース自動運転ソフトウェア(Autoware)を搭載した実際の車両での実証実験では、センサーの無効化が衝突リスクやシステム停止へと繋がる可能性があることも明らかになりました。
障害物の認識を取り除くだけでなく、存在しない壁をシステムに認識させることで、ブレーキを誘発させるといったこともできてしまうみたい。
この研究の結果、さまざまなLiDARセンサーの脆弱性が明らかになり、セキュリティの改善点を顕在化させることができました。
研究チームは、明らかになった脆弱性への対策に取り組むと言及しています。
同チームは対策のアプローチとして、異なる種類のセンサーを複合的に用いることなどを検討しているようです。
多様なセンサーが組み合わされば、一部が攻撃を受けたとしても、全体の安全性を維持できるということですね。
なお、今回明らかになった脆弱性については各LiDARメーカーに共有し、一定の対策期間を経てから研究結果を公開しているとのことです。
普及することで、社会にも大きな影響を与えるであろう自動運転技術ですが、安全性・信頼性を獲得するためには、まだ多くの課題を解決する必要がありそう。
SF映画みたいにAIが運転する車が行き交う世界、早く来ないかなぁ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/748f78695b0543d40736299d673a21239535294b