中国人の国外流出。それは史上、何度も起きている。明が異民族の清に代わった時には、明王朝のエリート、そして商人たちは東南アジアに移住(亡命)したし、アヘン戦争後の混乱期には沿岸地域の貧困層が大勢、下層労務者(クーリー)としてアメリカや東南アジアに売られていった。
1980年代からの改革開放の時代には、財を積んだ者は子弟を海外留学に送って足場を築いた後、自分も海外に静かに移住するようになった。このせいで、今ではカナダ、オーストラリアだけでも300万人を超える中国系住民が定住し、うち半分程度は中国本土から移住したと推定されている。
日本にも古来、混乱を逃れて移住してきた中国人は多い。秦の始皇帝の子孫を名乗る秦氏がそうだし、一族の長の秦河勝は聖徳太子の側近ともなり、蘇我氏と結び付き、さらに稲荷神社に至るまでその跡を残す。そして清朝末期には、東京の神保町近辺に多数の中国人留学生が集まって、「欧州の科学・学問を漢字で」勉強していた。
■中国人移民がもたらす機会とリスク
その中には、後の中国の周恩来首相もいたし、現代中国建国の祖とされる孫文も日本に出入りし、日本人有志から大量の資金・兵器支援を得ていた。留学生の多くは、日本が1915年に「対華21カ条要求」を中国に突き付け、権益譲渡を要求した時、怒って帰国し、抗日運動に身を投じる。
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日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
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