
「ヤッたではない。ヤらせていただいたんだ」さらば青春の光・森田が綴った謙虚で下衆なエロストーリー
男のエロ話は粗雑に繰り出すと、下品な片ハシャギに堕ちる。まさに取るに足りない
下品なゾーンに堕ちた状態を、男であれば、送り手として受け手として大方経験があるだろう。
その一方で、エロ話でありながら品ある両ハシャギをもたらすものもある。この差、境目、
分岐点は何か。ひとつには、エロに対して「傲慢」か「謙虚」かという姿勢が左右するのだと思う。
そんなことを考えたのは、お笑い芸人「さらば青春の光」の森田哲矢による著書
「メンタル童貞ロックンロール」(KADOKAWA 2019年1月発売)に没入したからだ。
森田のエロ話はどこまでも尽きることのない性欲こそ傲慢だが、その性欲におさまりをつけようと
奮闘する姿勢はことごとく謙虚で、それがおかしくてたまらなかった。
キングオブコントやM-1で活躍 実力派芸人の下衆話
「さらば青春の光」と言えば、キングオブコント決勝に通算6回進出、M-1グランプリ
2016ファイナリストというハイレベルな実力派だ。森田はネタを書きツッコミを担当する。
その才をWEBサイト「ダ・ヴィンチニュース」での連載コラムに注ぎ、今年1月に単行本として
まとまったのが本書「メンタル童貞ロックンロール」であり、これが森田にとっては初の著書だ。
そこに綴られているのは初めから終わりまですべて下衆なエロ話。と書くとヨゴレ感が漂うが、
そこには性欲達成の為にひたすらあがき続ける森田と仲間達の信念と挫折と汗があり、
内容は下衆なのだが「青春記」のような甘酸っぱさがあったりする。
少年ジャンプの三大テーマが「友情・努力・勝利」であれば、この「メンタル童貞ロックンロール」の
三大テーマは「友情・努力・下衆」だろうか。勝利はない。森田自身の中には時に
それもあるのだろうが、本書はそれを言外としている。だって、誰かがうまくいった、うまいことやった
自慢話ほど面白くもなんともないものはないわけで。
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