
トランプ米大統領が連邦捜査局(FBI)のコミー長官(当時)に対してフリン前大統領補佐官への捜査をやめるよう求めた発言のメモをコミー氏が残していたとする報道は、事実であれば大統領の「司法妨害」を裏付ける重要な証言となり得る。
しかし、問題の発言があった場にはトランプ氏とコミー氏しかおらず、トランプ政権は「そのような発言はなかった」と全面否定して押し切る構えを強めている。
トランプ氏にとって今回の発言が過去の「暴言」や「失言」をめぐる騒動と決定的に異なるのは、
米民主体制の根本理念である三権分立を揺るがす「司法権の侵害」に当たる恐れを秘めていることだ。
ただ、コミー氏のメモの存在のみをもってして、事態が直ちにニクソン大統領を辞任させたウォーターゲート事件のような状況に突入するわけではない。
トランプ氏の「犯罪」を立件するには、同氏がFBIに対し、ロシアによる米大統領選への介入疑惑の捜査を手加減するよう要求したことの立証に加え、
そうした要求をコミー氏が拒否したことが解任の直接の原因となったことが証明されなければならない。
捜査中止要請、トランプ氏「全面否定」で押し切りへ 大統領の「犯罪」立証に壁
http://www.sankei.com/world/news/170517/wor1705170045-n1.html