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魅力的な見た目であることは一般的に長所として捉えられますが、科学研究の分野において、「魅力的でない」と評価される顔の方が研究内容を重視され、
研究者として有能であるという印象を持たれがちであることがわかりました。
Facial appearance affects science communication
http://www.pnas.org/content/early/2017/05/16/1620542114
In Science, Good Looks Don't Pay, Study Finds
http://www.livescience.com/59209-scientists-attractiveness-perceptions.html
研究を行ったのはエセックス大学で社会心理学を研究するAna Gheorghiu氏らのチーム。Gheorghiu氏らは、どのような顔が「優れた科学者」像と関連づけられるのか?
ということを明らかにするため、アメリカとイギリスで活動する実在の科学者1000人の顔写真を3700人の被験者に見せ、「魅力」「倫理性」「知性」「社交性」
などの点について評価してもらいました。そして、それと同時に「この人が行う研究にどれくらい興味がありますか?」「この人はどのくらい正確で重要な研究を行うように見えますか?」
ということについても尋ねました。
調査の結果判明したのは、顔写真から「有能」であり「倫理的」だと評価される科学者は、同時に「魅力的ではない」「社交的ではない」と評価される傾向が高いということ。一方で、
研究内容に興味を持ってもらえるのは、「魅力的」だと評価される顔の研究者であることも判明しました。つまり、研究に興味を持ってもらえるのは魅力的な顔の研究者であるものの、
その研究内容は重視されにくいというわけです。なお、このとき、最も研究に興味を持ってもらえた科学者の資質は「有能」「魅力的」「倫理的」の組み合わせでした。
また、白人以外の研究者が行った研究は「質が高い」と見られる傾向や、年配、あるいは男性が行った研究は人々の興味を引きやすいということも示されています。
ただし人種に関しては、顔写真に含まれていたのが大部分がアジア系であったこと、人種に特化したテストを行ったわけではないことが注意点として挙げられています。
SNSなどで発信を行っている研究者も増えているなかで、今回の研究結果は大きな意味を持つとGheorghiu氏らは考えています。研究者がどんな顔であるかによって
研究内容の受け止められ方にバイアスがかかり、政府や科学政策にも影響を与える可能性があるためです。また、一般の人々を対象にしたコミュニケーション・リサーチを行う際も、
研究者がどのように見られるかが影響を与えます。
今回の研究結果を受けて、心理学者のAmanda Diekman氏は「政治やビジネスの世界でコミュニケーターが大きな力を持つことは当然ですが、これと同じことが科学分野について言えるとは
考えたことがありませんでした。今回の研究は、科学者が業績を評価される際に何が起こっているかを示すものでもあります」と語りました。
http://gigazine.net/news/20170523-good-looks-influence/