ドナルド・トランプ米大統領は先週、好戦的な姿勢で他の主要7カ国 (G7)首脳陣と向き合った。
外遊中、対米貿易黒字を抱えるドイツを「とても悪い(very bad)」と批判した。
(これを「邪悪(evil)」にあたるドイツ語に翻訳した日刊紙もあった)帰国後にはツイッターで再び同国の貿易不均衡について不満を漏らした。
トランプ氏のこうした侮辱的な発言やふるまいに業を煮やしたのか、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、
欧州は米国の助けに頼らずに自分の将来を決める必要があると冷ややかに返した。
だがメルケル氏は、トランプ氏の人となりをどう思おうが、トランプ氏のこのメッセージには耳を貸すべきだ。
トランプ氏の貿易に対する認識は間違っている部分が多いが、ことドイツの貿易黒字については正しい。
ドイツの経常黒字は現在、世界最大だ。中国と同様、ドイツは危険なまでの不均衡を抱えており、米国や他の欧州諸国も含め世界各国はつけを払わされている。
そう考えているのはトランプ氏だけではない。ドイツ経済研究所(DIWベルリン)のマルセル・フラッシャー所長は
「批判は正しい。ドイツの貿易黒字は過剰だ」と話す。
イングランド銀行(中央銀行)のマービン・キング前総裁はさらに踏み込み、
「トランプ大統領は貿易・金融面での現在の国際関係に内在する1つの問題を特定しており、彼の主張は正しい」と指摘する。
確かにトランプ氏の問題の捉え方は間違っている。貿易赤字は、同氏がたびたび主張しているように
ある国が保護主義的政策を使って優位に立ち相手国に損失を押しつけていることを意味するわけではない。
保護主義は輸出と輸入のパターンを変えることはできても、その差額である貿易収支を変えることはできない。
トランプ氏、ドイツ貿易黒字批判だけは正論
http://jp.wsj.com/articles/SB12759854608153193634404583180712902876812