日欧首脳、EPA大枠合意 19年発効めざす
安倍晋三首相はEUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長とEU本部内で会談。
その後の共同記者会見で「自由貿易の旗手として手を携え、世界の平和と繁栄に貢献していく」と述べ、日本とEUのEPA交渉が大枠合意に達したと正式に宣言した。
発効すれば世界の人口の8.6%、国内総生産(GDP)の3割弱を占める巨大自由貿易圏が生まれる。
欧州から日本への輸出では、欧州産チーズについてカマンベールなどソフトチーズを中心に低関税で輸入する枠を新設。
初年度2万トンから始めて段階的に税率を下げ、16年目は3万1千トンとして無税にする。
欧州産ワインの関税は即時撤廃。パスタやチョコレートも段階的に無税にする。
日本から欧州への輸出では、EU側が日本の乗用車にかける10%の関税を7年かけて撤廃する。
日本から欧州に自動車を売りやすくなる。自動車部品の92.1%(貿易額ベース)は即時撤廃する。
政府によると、発効済みの韓国とEUの自由貿易協定(FTA)より高い水準だという。
緑茶や牛肉、乳製品も即時撤廃する。知的財産の保護も盛り込むほか、電子商取引や農業協力などについても明記した。
世界では16年6月の英国のEU離脱決定や、同11月のトランプ米大統領の当選など、内向きな動きが相次いでいる。
7日からはドイツで20カ国・地域(G20)首脳会議が始まる。
米英や中ロ印など新興国の首脳が顔をそろえるG20サミットで成果を説明し、自由貿易の重要性を各国と共有したい考えだ。
安倍首相としては日欧EPAを手詰まり感のあった成長戦略の起爆剤とし、政権浮揚につなげる構え。
日欧が互いに関税を引き下げれば、第三国が日欧に輸出する場合に不利になり、他のFTA交渉に好影響を及ぼすとの期待もある。
環太平洋経済連携協定(TPP)から脱退表明したトランプ米政権に復帰を促す材料にもなるとみている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS06H49_W7A700C1MM8000/