東芝は「東芝メモリ」の売却先を米べインキャピタル主導の日米韓連合に決め契約を締結。
3月末の債務超過解消に向け売却完了を急ぐ。しかし、各国の独禁法審査や合弁相手の米
ウエスタンデジタル(WD)との係争など課題や障害も残る。国際法務に詳しい柳田国際
法律事務所の川島佑介弁護士に聞いた。
東芝メモリの譲渡契約によると売却後は、東芝とHOYAで議決権の50.1%、ベインと
韓国のSKハイニックスで49.9%となる。米アップル、デルなどの米IT企業4社も資金
拠出するが議決権はなく、ハイニックスについては今後10年間は15%超の議決権を持てない条件とした。
川島氏は、東芝と日米韓連合による競争当局への審査に関する届出書の提出は早くても
10月後半以降になると見込む。届出先は「東芝メモリの売り上げが大きいであろう日本、
米国、中国、韓国、EUなどの国・地域になる」と想定。日本では書類の受理後、
30日間の1次審査があり、終わらなければ追加報告などを経て90日間の2次審査に移行するという。
障害になりそうなのは中国だとみている。
同国では届出書の正式受理までに6ー8週間程の期間を要することが多く、2次審査(1次は30日)も
最大150日まで延長される可能性がある。また「中国もメモリ産業に力を入れており、競争状況を
慎重に見ていくことも否定できない」とし審査長期化や不承認も懸念されるとしている。
ハイニックスの存在も焦点になるという。同社が当初、東芝メモリの議決権を持たなくても
「新たな株主となる新会社(特別目的会社)との関係次第では競争当局が神経を尖らせる
可能性もある」としている。
東芝メモリへの役員派遣の有無なども審査で考慮される公算があるとみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-03/OWV9YR6JTSE901