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2人の政治家の対照的な振る舞いが忘れられない。2004年8月13日に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落後、現場を視察した当時の稲嶺恵一知事と小池百合子沖縄担当相のことだ
▼ボリビア出張を途中で切り上げ、稲嶺知事が来たのは墜落から8日後。黒焦げの壁を見上げて「かーっ」と発し、その後は終始無言だった。
新基地の軍民共用化などを条件に「辺野古移設」推進の立場だったが、奥歯をかみしめているようにも見えた
▼一方、小池氏の訪問は約2カ月後。
壁の前で、大学が準備した墜落時の映像を見ていると、集まった女子学生らが「普天間飛行場を返して」「辺野古移設はやめて」と口々に叫んだ
▼距離はわずか数メートル。聞こえているはずなのに小池氏は完全に無視し、映像を見続けた。
それでもやまない訴えに、目も向けず一言。「(音声が)聞こえないなー」
▼それから13年。大義名分のない衆院解散で行われる総選挙に向け、小池氏は脚光を浴びる。
全国メディアが論じるのは「安倍か小池か」ばかりだ
▼小池氏率いる「希望の党」の公約発表はまだだが「辺野古推進」は揺るがないだろう。民意を無視し、新基地建設を強行する安倍政権と何が違うのか。
「政権選択選挙」といくら言われても、県民の声を聞かず、基地問題を放置するような政治に希望は見えない。(磯野直)
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/151179