一世を風靡した「中国崩壊本」が今、曲がり角を迎えている。
中国崩壊本とは「中国経済は数々の問題を抱えており、早晩破綻する」
と主張する書籍や雑誌のことだ。
いわゆる「反中本」の中でも、主に経済に論考が限定されている。
アメリカにも存在するが、日本での出版数が圧倒的だ。
「世界第2位の経済大国を自称するが、統計はごまかしが横行している。実際のGDPははるかに少ない」
「軍事費や治安維持費が右肩上がりに増えており、高成長を維持できなければ国家が破綻する」
「中国の暴動・ストライキの数は年10万件超。成長率が下がれば国が持たない」
「不動産バブルは既に限界」
......といった個々の事象を基に、中国経済が立ちゆかなくなると結論付けるのが一般的だ。
05年の反日デモ、08年の中国製冷凍ギョーザ中毒事件、10年の尖閣諸島沖中国漁船衝突事件、
12年の日本政府による尖閣国有化に伴う反日デモと、
日中間で衝突が起きるたびに中国崩壊本は出版されてきた。
曲がり角を迎えている最大の理由は、10年以上前からオオカミ少年のように
「間もなく崩壊する」と言い続けたのに中国経済が一向に崩壊しないからだ。
「崩壊詐欺」とも批判を浴びている。
そして、本の売れ行き自体も低調になった。
「あの手の本には一定の支持層がいるが、
大きく売り上げを伸ばすためには中国との『事件』が必要」
と、中国崩壊本を何冊も手掛けてきた日本人編集者は言う。
「現在、日中関係は安定しているので、ある程度は
売れるもののそれ以上の大きな伸びは見込めなくなった」
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/post-8772.php