
強制わいせつ罪「性的意図」不要=47年ぶり判例変更―最高裁 (時事通信)
強制わいせつ罪の成立に「性欲を満たす意図」が必要かどうかが争われた刑事裁判の上告審判決で、
最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は29日、性的意図がなくても罪が成立するとの判断を示した。
一律に意図が必要とした判例を、47年ぶりに変更した。裁判官15人全員一致の意見。
最高裁は1970年、報復目的で女性を裸にして写真撮影した事件で、強制わいせつ罪の成立には「自
分の性欲を刺激させたり、満足させたりする意図」が必要と判示した。
大法廷はまず、厳罰化や強制性交等罪の新設などを柱とした刑法改正などの流れに触れ、「性犯罪に
対する社会の受け止め方の変化を反映したものだ」と指摘した。
その上で、「今日では、被害者の受けた性的な被害の有無や内容、程度にこそ目を向けるべきだ」と
言及。性的意図を成立要件とした従来の判例は「もはや維持しがたい」と結論付け、被告側の上告を
棄却した。
被告は甲府市の男(40)。2015年、女児にわいせつな行為をし、スマートフォンで撮影したとして、強制
わいせつや児童買春・ポルノ禁止法違反の罪で起訴された。
男は「知人から金を借りる条件として撮影データを送るよう要求された」と主張。判例を根拠に、性的意
図はなく強制わいせつ罪は成立しないと訴えていた。
一審神戸地裁は、最高裁判例を「相当ではない」と判断して懲役3年6月の実刑を言い渡し、二審大阪
高裁も支持した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171129-00000051-jij-soci