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https://the01.jp/p0006605/
日本国内で世論操作のためのボットが大規模に活動している
先日公開されたドイツのエアランゲン=ニュルンベルク大学のファビアン・シェーファー博士の論文『Japan’s 2014 General Election:
Political Bots, Right-Wing Internet Activism, and Prime Minister Shinzō Abe’s Hidden Nationalist Agenda』において、
2014年の衆議院選期間中におけるツイートの統計分析が行われ、衝撃的な結果が出た(注1)。
結論を言うと83.2%のツイートがコピー(そのままのコピーではない類似ツイート含む)であり、ボットを利用した拡散も確認された。
シェーファー博士は、ツイートの内容を分析し、2014年の衆議院選の安倍政権には「ナショナリズム」という隠れたキーワードがあったと推測している。

論文全体は日本の政治状況に踏み込んだものとなっており、日本でネット世論操作が行われ、選挙にその影響が出ている可能性を指摘。
その裏には「ナショナリズム」があったと分析している。
(注1)『東洋経済オンライン』にこの論文を紹介した日本語の記事『SNSが日本の政治に与える無視できない影響』もあるが、どちら
かというと政治へのSNSの影響を紹介しており、論文の内容については軽く触れるに留まっている。元の論文(英文)には詳細
なデータがあるのでぜひそちらをご覧いただきたい。
2014年12月8日から30日の間のツイートの中から政治に関係あると考えられるキーワードを含むツイート54万2584件を抽出して析析したも
ので、45万1539件、83.2%が類似ツイートを含むコピーであるとしている。類似ツイートとは元のツイートとは若干表現を変えているもの
(near-duplicates)である。この論文の特徴は言
語解析を行い、完全一致ではなく類似のものも認識できるようにしている点だ。なお、単純な完全コピー(リツイートなど)は30万7670件
56.7%だった。つまり単純なリツイートではなく、
同じ内容だが表現に手を加えた類似ツイートは14万3869件存在したことになる。
この情報を統計解析し、5つのパターンを抽出した。そのうち3つのパターン(パターン1、2、5)は「安倍政権支持キャンペーン」のボッ
ト、残りの2つのうち一つが「反安倍政権」。最期のパターンは「ボットに似た人間」であろうとしている。Webで記事を読んでシェアボ
タンをクリックしたような場合、ツイート内容が似ているのでボットのように見えるが、実際には人間が操作している。
全体像を整理したチャートが図2になる。