
ひげという男性を象徴する言葉と、女子高生を「拾う」という危険さを感じさせる言葉。
この組み合わせにエロを期待するなというのは嘘というもので、そういう期待をもって読み進めると見事に気持ちよく裏切られる。
安易な恋だ愛だ性的な関係だという展開に逃げない、絶妙な心の揺らぎを描く物語が読み手を魅了するからだ。
サラリーマンの吉田は、5年間片想いしていた相手に告白するもバッサリと振られ、ヤケ酒の帰り道に路上に蹲る女子高生と遭遇する。
「おじさん、泊めてよ」「お金もないの」「ヤらせてあげるから泊めて」……少女を部屋に入れてしまう吉田。
だが、それは大人が子供を見捨てられるかという性格からの行動であり、酔いで意識が遠のく中で味噌汁が飲みたいとだけ呟き眠りに落ちる。
翌朝、吉田が目にしたのは「沙優(さゆ)」と名乗る見知らぬ女子高生と、手作りの味噌汁。なし崩しにはじまる同居生活。家出JKと26歳サラリーマンの奇妙な関係がはじまった。
しめさば『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』(KADOKAWA)は、ありふれた日常に訪れたありそうでなさそうな環境の中で、
心が優しくなるほのぼのとした交流と、日常の中で自分らしく生きる事の重みを考えさせる物語だ。
軽妙で読みやすい描写の巧みさも相まって読み手の共感を呼び、初出であるWEB小説投稿サイト『カクヨム』でも、高い評価を得ている。
エロを期待すると気持ちよく裏切られる!?「家出JKと26歳サラリーマン」の青春を描く、『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』
https://ddnavi.com/review/463139/a/
