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W杯が始まった。各国の戦いを興味深く見ているが、なかでも特別な思いで追っているのは、
かつてユーゴスラビアという名の同じ国であったクロアチアとセルビア、そして私が率いたことのある日本だ。
その日本が初戦でコロンビアに勝利した。W杯でアジアのチームが南米のチームを破ったのは史上初だ。
まさに快挙という言葉がふさわしい。
正直、大会が始まるまで、日本がコロンビア相手に勝ち点3を挙げられるとは思っていなかった。
日本が勇猛なチームであることは知っていたが、W杯前のデリケートな時期の監督交代は、あまりにもリスクが高かった。
おそらく西野朗氏が新監督に就任したことが、日本を救ったのだと思う。西野氏はもともとチームの中にいた人間で
、詳細なチーム内の状況を熟知していた。新監督に与えられた時間は少なかったが、
それがあまり足かせにならなかったのだ。
チームにおいて、選手が監督の指示を速やかに受け入れることが、私はとても重要だと思う。
選手から監督に対するプレッシャーは受け入れられない。ただ、時には彼らの言い分も
理にかなっていることがあるのだが……。
コロンビア戦は、日本が勝つべくして勝った試合だったと思う。もちろん、立ち上がりすぐのPKと
カルロス・サンチェスの退場は、日本にとって大きな僥倖(ぎょうこう)ではあった。おかげで日本は
すぐにリードすることができたし、コロンビアより1人多い人数でほとんどの時間をプレーすることができた。
そこで試合の方向がかなり決まったのは否定できない。ただ勝敗を決めたのはそれだけではない。
コロンビアが最初にピッチに姿を現したとき、私は彼らの傲(おご)りを感じた。2014年ブラジルW杯で
準々決勝まで勝ち進んだ彼らは、自分たちの勝利を信じて疑わない様子だった。南米選手にありがちな、
そうした驕慢(きょうまん)を私はよく知っている。そして彼らはピッチでその代償を支払うことになった。
サッカーとはそういう風にできている。相手を見下せば、必ず手痛いしっぺ返しにあうのだ。
6/21(木) 12:43配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180621-00010004-sportiva-socc
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