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昨年11月18日、中国・北京郊外の大興区にある雑居ビルで火災が発生し、子ども8人を含む19人が死亡した。ビル内には簡易宿泊施設があり、
出稼ぎ労働者ら400人以上が暮らしていたが、窓や防火設備がなかったため死者が増えたと考えられている。この事故を受けて当局は、
市内から危険な建築物を一掃するためのキャンペーンに乗り出し、昨年末には違法建築物などに暮らす出稼ぎ労働者らが立ち退きを命じられている。
しかし、物理的な強制力を伴う強引な立ち退き命令によって、住人たちは路頭に迷うこととなり、国内外から人権侵害であるとの批判も集中している。
同地区に暮らしていた趙さんも、立ち退きを命じられた1人だ。彼女によると、アパートの全住民に対して突然、翌日の午後5時まで
に出ていくように一方的に通知されたという。そして翌日になると、実際に政府に雇われた作業員たちが現れアパートの天井を破壊し、電源を切断していった。
「アパートから家族が出ていこうとするとき、天井の解体工事で飛び散ったガラスの破片が赤ちゃんの上に落ちて腕を傷つけました。
赤ちゃんの泣き声を聞いたとき、私は絶望的な気持ちになりました」
そう語る趙さんは、一瞬のうちにホームレスとなってしまった。私財をことごとく売り払った彼女は、北京から何百マイルも離れた河南省の故郷へ戻る決心をしたという。
北京のキャンペーンに限らず、中国では立ち退きの強制が近年問題となっている。社会主義国家の中国では、そもそも国民に土
地の所有権は認められていない。所有権を有するのは政府だけで、国民は使用権を与えられているにすぎず、政府の方針で立ち退
きを命じられることが多々あるのだ。立ち退きを拒否する住人に対しては、建造物を一方的に解体するな
どの暴力的な手段も辞さないのが政府のやり方だ。そんな中国の現状を撮影したと思われる映像が、海外の動画共有サイト「LiveLeak」で公開されている。
ブルドーザーとその周りを取り囲む人々。この光景、何かがおかしい――そう、ブルドーザー前面のブレードが、土砂と一緒
に2人の人間も巻き込んでいるのだ! 周囲の人々は2人を助けようとしているが、どうしてこうなったのか? 動画の詳細は不明
であるものの、コメント欄には「住人が立ち退きを拒否した結果だろう」と書かれている。このコメントは、
政府や地方自治体が土地開発によって巨額の利益を得ている一方で、立ち退きを強要された住人らは十分な保障を受けていない、と痛烈に批判している。
中国は、社会主義に資本主義を取り入れて独自の経済発展を遂げている。しかし、その裏では、多くの国民が犠牲を強いられて
いる。人権侵害の上に成り立つ“繁栄”は、遠くない将来、崩壊するのではないだろうか?
(文=標葉実則)
動画
https://www.liveleak.com/view?t=9dadd_1528975432
http://tocana.jp/2018/06/post_17337_entry_2.html