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北朝鮮が、弾道ミサイルの製造施設の拡張工事を完了したとみられることが2日までにわかった。
衛星画像の分析から明らかになった。米国政府は先月の米朝首脳会談で北朝鮮側が核・ミサイル
開発の放棄に意欲を示したとしているが、衛星画像の内容はそうした見方に疑念を投げかける
ものといえそうだ。
問題の画像は米サンフランシスコに拠点を置くプラネット・ラブズが撮影し、モントレー国際
大学院(MIIS)の研究者らが分析した。それによると、咸興(ハムフン)市にある化学
材料研究所での工事が完了しているのが確認できるという。
化学材料研究所は、固体燃料を使用するミサイルのノズルや胴体部分、円錐(えんすい)形の頭部
など、炭素複合材を使った部品を製造していることで知られる。
昨年8月には、同研究所の工事完成図の前で説明を受ける金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党
委員長の写真が公開されている。この時期と前後して北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル2発の実験
を行い、米領グアム周辺へのミサイル発射計画を策定すると威嚇した。
MIISで東アジアの核不拡散プログラムを研究するジェフリー・ルイス氏は、大半の工事が
今年の5月に行われたと説明。ちょうど南北首脳会談と米朝首脳会談の間の時期に当たるという。
固体燃料型のミサイルは揮発性の高い液体燃料を使用するミサイルよりも貯蔵や移動を容易に
行えるという利点がある。長距離弾道ミサイルを使えば、小型化した核弾頭を数千キロ離れた
地点へ撃ち込むことも可能になる。
金委員長は、国外向けに非核化の意思があることを継続的にアピールしている。前述の米朝首脳
会談ではトランプ大統領と「朝鮮半島の完全な非核化」を目指すとした合意文書に署名した。
一方で今年の年頭の演説では、国内の研究機関に対し、弾道ミサイルや核兵器の量産に取り組む
よう指示。前出のルイス氏は金委員長について「軍備の縮小を一度たりとも命じたことがない」
「軍備を縮小するどころか現在も拡張している」と警鐘を鳴らした。
https://www.cnn.co.jp/world/35121803.html