インタビューア(以下「I」): あなたがソフトウェアデザインの世界を一変させてから何年にもなる。振り返ってみて、感想は。
Stroustrup(以下「S」): 実はあなたがここへ来る直前、当時のことを思い出していたんだ。
おぼえているかな。
誰もが C 言語を使っていたけど、問題はみんな結構うまくコーディングしていたことだった。
大学も C 言語を教えるのがうまくなっていたしね。
驚異的な割合で有能な――「有能」という言葉は強調しておきたい――卒業生を量産していた。
それが問題の原因だったんだ。
I: 問題?
S: そう、問題だったんだ。誰もが COBOL を使っていた頃のことはおぼえてる?
I: もちろん。僕もそうだった。
S: はじめの頃、COBOL ができる人間は神のような存在だった。給料も高かったし、王侯貴族のような扱いだった。
I: いい時代だったなあ。
S: うん。で、どうなった? 嫌気がさした IBM が何百万ドルもつぎ込んでプログラマを養成したものだから、COBOL プログラマは「一盛り十円」になってしまった。
I: だから僕は辞めたんだ。たった1年の間に給料が急落して、とうとうジャーナリストの方が給料がよくなったんだ。
S: そのとおりだ。で、当時は C プログラマにも同じことが起こっていたんだ。
I: なるほど。でも、要するに何が言いたいのかな。
https://monobook.org/wiki/Bjarne_Stroustrup_%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC