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自民党総裁選と消費税(森永卓郎)
(略)
日本の右派と左派でねじれているマクロ経済政策
ただ、私は自民党総裁選で石破氏が勝利したほうが、国民が幸せになるとは、考えていない。その理由は、マクロ経済政策にある。
保守本流のマクロ経済政策が、金融緩和・財政出動で、保守傍流のマクロ経済政策が、金融引き締め・財政引き締めとなるのが本来の姿だ。
世界を見渡してみても、左派は金融緩和・財政出動で、右派は、金融引き締め・財政引き締めが基本政策になっている。
ところが、アベノミクスは金融緩和・財政出動であるのに対して、石破氏は金融引き締め・財政引き締め派だ。
石破氏は、2018年4月の講演で、金融・財政政策をいきなり激変させることはないと断言したが、同時に、
「大胆な金融緩和も機動的な財政出動も、いつまでも続けられるはずがない」と将来の引き締めに含みを残している。
もし石破氏が総理大臣になったら、金融・財政同時引き締めで、日本経済は失速してしまうだろう。民主党政権のときの悪夢の再現だ。
一方、安倍総理が、財政出動・金融緩和を継続するのは確実だ。少なくとも、経済全体のパイを拡大することには成功する。
ただし、日本が米国の戦争に巻き込まれるリスクがさらに拡大し、格差も拡大を続けることになる。
リベラル政党は、まともな経済政策を提示すべき
私は、日本に一番必要なものは、経済をきちんと理解した、まともな左派政党だと考えている。
基本理念は、平 和主義と平等主義。そしてそれを実現するための対米全面服従からの脱却、社会保障拡充と消費税減税、そしてその財源としての金融緩和だ。
アメリカでも、ヨーロッパでも、新自由主義の惨禍を目の当たりにした国民が、確実に左派の支持を増やし始めている。そして彼らは、左派としてのまともな経済政策を提示している。
ところが、日本の左派政党だけが、なぜか財務省と日銀のマインドコントロールから逃れることができずに、相変わらず「社会保障の拡充のためには消費税引き上げはやむを得ない」とか、
「金融緩和はバブルを引き起こすだけで、何の効果もないどころか危険だ」などと、財務省や日銀が作った神話の呪縛にとらわれ続けている。
(略)
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