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自民党総裁選(20日投開票)で、石破茂元幹事長の陣営が沖縄県向けに制作した動画が、波紋を広げている。在日米軍基地が集中する理由について、日米両国が「反基地闘争」回避のために本土から移したという石破氏の発言を地元紙が報じ、
自民党や自衛隊OBらの反発を呼んでいるのだ。事実上の与野党対決となっている沖縄県知事選(30日投開票)に、影響を与える可能性がある。
物議を醸している動画は、地元紙・沖縄タイムスが13日、取り上げた。ちょうど、知事選の告示日だった。
石破陣営は、自民党総裁選の特設サイトで、47都道府県向けの動画を配信している。そのなかの沖縄向けメッセージで、米軍基地が集中している理由をこう説明した。
「1950年代、反米基地闘争が燃えさかることを恐れた日本と米国が、当時米国の施政下にあった沖縄に、海兵隊の部隊を移したからだと聞いている。(略)このことを決して忘れてはならない」
石破氏の主張を受け、沖縄タイムスは「元防衛相が政治的要因を認めた」「閣僚経験者が本土の反対を懸念して、沖縄に米軍基地が集約された経緯について発言するのは初めてとみられる」と特筆している。
知事選の争点とされる「米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設」について、革新系で自由党前衆院議員の玉城デニー氏(58)が反対を訴える一方、
保守系の前宜野湾市長、佐喜真淳(さきま・あつし)氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=は、是非を明言せず、慎重な態度を貫いている。
石破氏の主張は、革新勢力の「反基地感情」に火を付け、玉城陣営を利することになりかねない。自民党関係者は「どういう意図で言っているのか」と憤りを隠さない。
沖縄・南西諸島地域の領空を守る航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将は「防衛相経験者として、とんちんかんな発言で、沖縄(の革新勢力など)に媚びているように感じる」と述べ、続けた。
「沖縄は、朝鮮半島や中国、台湾まで、戦闘機なら数時間で到達できる戦略的要衝だ。米軍基地が集中しているのは、中国や北朝鮮などへの威嚇のメッセージにもなっている。
元防衛相なら、そうした地政学的意義を丁寧に説明し、沖縄県民の理解を得るよう努めるべきではないのか。とても首相は任せられない」
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180917/soc1809170003-n1.html