父親の遺産のうち、母親が自分の相続分を特定の子に譲渡して死亡した場合、子の兄弟らが譲渡分の
一部を受け取れるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は
19日、「受け取れる」との判断を示した。高齢の母親が、父親の遺産の相続分を受け取らず、同居して
世話になる子に譲渡するケースは多く、遺産相続の実務に影響が出る可能性がある。
民法は、故人の意思に関係なくすべての子が親の遺産の一定割合を受け取る権利を認めている。
訴訟では、死亡した父親の遺産のうち、母親から自身の相続分を生前に譲渡された長男を相手取り、
次男らが一部を渡すよう求めた。
同小法廷は判決で、母親が長男に譲渡した相続分について、「母親からの『生前贈与』にあたる」との
初判断を示し、民法上、他の兄弟らも一定割合を受け取る権利があるとした。その上で、譲渡分の一部を
渡すよう長男に命じた1、2審判決を支持し、長男の上告を棄却した。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20181020-OYT1T50013.html