「現場の嫌がらせ」では済まないレーダー事件(抜粋)
── 文在寅政権下ならではの事件というわけですね。
鈴置:そうです。しかし今後は大統領が誰であろうと、こういう事件が起きる
可能性が高い。なぜなら韓国は日本海を自らの海としたくなったからです。
日本海にはメタンハイドレードが大量に眠っていて、日本が自らのEEZ内
で採取し始めたのが悔しくて仕方ない。
また、韓国海軍は2020年からミサイル発射型の潜水艦を配備しますが、その
「巣」としても日本海は重要です。黄海は浅くて潜水艦の運用は難しいし、
そもそも中国が海上優勢――昔の言葉で言えば制海権を維持している。
韓国とすれば明治以来、日本海で羽振りをきかせてきた日本を追い出したい。
11月20日にも、韓国の海洋警察の警備艦が日本のEEZ内で日本の漁船に操業
中止を命令した事件が発生しています。
だからレーダー事件を「現場の跳ね上がり」と見過ごすわけにはいかないの
です。火器管制レーダーを照射された日本の自衛隊機は退避せざるを得ない。
それを繰り返していけば、日本のEEZもその空域も韓国が支配できるのです。
── そんなに簡単にいくでしょうか。
鈴置:放っておけば、これが「初めの一歩」になります。「韓国の『対日挑発
日誌』」をご覧下さい。2018年10月以降だけでも、これだけ日本を挑発して
います。ただ、それらは韓国から見れば、日本との関係を見直し、権利を拡大
する「愛国事業」なのです。
日本企業に対し、戦時中の朝鮮人労働者に慰謝料を支払えと韓国の裁判所が
相次ぎ判決を出したのもそうです。日韓国交正常化の際に結んだ基本条約を否認
するものです。
「和解・癒し財団」解散も、日本との慰安婦合意を反故にする狙いです。文
在寅政権のこうした動きに対し、保守派からもさほど批判はあがらない。
日本との関係が悪化しさらには米国との同盟が揺れると懸念する向きは一部に
ある。しかし敢えて約束を破り、日本を従わせる「愛国事業」である以上、保守
も文句はつけにくいのです。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/122600210/