17年11月と12月、沖縄弁護士会に送られた懲戒請求書は961件に上った。いずれもブログ「余命三年時事日記」を見た読者から送られたものだ。
懲戒対象は当時の弁護士会会長と、同会に所属し、朝鮮にルーツがある在日コリアンの白充(ペクチュン)弁護士だった。
大量の懲戒請求は全国各地の弁護士会にも送付されている。中でも、沖縄弁護士会は在日コリアンの白氏らが対象になっている点などを挙げ、声明で「差別的言論」だとしている。
白氏は自身が通っていた朝鮮人学校の近くのガードレールに「朝鮮人ばか」「死ね」と書かれていたことを今でも覚えている。差別は幼少期から現在まで繰り返し受けてきた被害だ。
今回、大量に懲戒請求が送りつけられた発端は、国が朝鮮人学校に対する自治体の補助金の再考を求める通知を出したことにある。
通知に対して日本弁護士連合会が会長声明で反対し、弁護士が懲戒請求の対象となっていった。
差別的だと批判されている国の政策が匿名性のあるネットを介して、個人の差別意識を増幅させた形になっている。
白氏は普天間爆音訴訟や辺野古アセス違法確認訴訟などの代理人を務めていた。
国家の政策が個人の差別意識に結び付いた在日朝鮮人への差別問題は沖縄に差別が向かう構造とも似ていると感じている。
白氏は請求者だけではなく、それ以外の多くの人に考えてほしい問題だと思っている。
この原稿を書いていた20日、新たな情報が飛び込んだ。ブログ「余命三年時事日記」がこの日の午前中から見ることができなくなっている。
「表示できませんでした」というメッセージだけが画面に表示されている。12年ごろに開設されたとみられるこのブログは、公開停止もしくは閉鎖されたようだ。
(ファクトチェック取材班・池田哲平) (おわり)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-863959.html