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台湾の野党、中国国民党から来年1月の総統選への立候補を目指す郭台銘(かく・たいめい)氏(68)が、
「親中」色の払拭にやっきになっている。自身が会長を務める鴻海(ホンハイ)精密工業が製造拠点の多くを
中国に置くほか、自身の失言もあって政権与党の批判にさらされているためだ。
郭氏は13日、台北の国民党本部で呉敦義(ご・とんぎ)主席と会談、その後の記者会見で、ニューヨーク
前市長のブルームバーグ氏と「昨年、2時間会談した」と米国人脈を強調した。
訪米直後の6日にも、1日に面会したトランプ大統領にもらったというサイン入りの新聞の切り抜きを披露。
一方で、日本人記者が中国が台湾統一策とする「一国二制度」の見方を質問すると
「日本人がそんなことを聞くのはおかしい」と回答を避けた。
郭氏は訪米中、同行記者団に「台湾は中国の不可分の一部で、同じ中華民族に属している」と述べたと報じられた。
発言が広まると、郭氏は「『中国』とは(台湾当局が公称する)『中華民国』のことだ」と弁明したが、
民主進歩党の蔡英文政権で対中政策を主管する大陸委員会の陳明通(ちん・めいつう)主任委員(閣僚)は
「国際社会に誤った情報を伝えるべきではない」と指摘。同党から出馬を目指す頼清徳(らい・せいとく)
前行政院長(首相に相当)は「総統選に出る資格がない」と批判した。
鴻海の中国での従業員は100万人以上、売り上げの約35%が中国由来とされ、民進党は「利益相反」批判を強める。
大手テレビ局TVBSが10日公表した世論調査では、国民党内の支持率で、郭氏は20%と、35%で1位の
南部・高雄市の韓国瑜(かん・こくゆ)市長(61)から離された。
郭氏は「北京は中華民国の存在を正視すべきだ」と台湾への忠誠心を強調し、支持回復を図ろうとしている。
https://www.sankei.com/world/news/190513/wor1905130012-n1.html