「人生の目的」を持つかどうかがあなたの寿命に関係している
長生きをするためには「外食をやめる」「魚を食べる」「運動をする」など、さまざまな方法が効果的だと言われますが、
新たな研究で「人生の目的を持つこと」が人の寿命と関係することが示されました。人生の目的を持っているかどうかで、
その後5年の死亡率は大きく変わってくるそうです。
Association Between Life Purpose and Mortality Among US Adults Older Than 50 Years | Cardiology | JAMA Network Open | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2734064 Does Your Life Have Purpose? The Answer Could Affect How Long You Live.
https://www.livescience.com/65552-life-purpose-mortality-decrease.html ミシガン大学の研究者たちは、1992年にスタートした「The Health and Retirement Study(HRS)」という50歳以上の被験者
7000人を対象とした調査結果を利用し、分析を行いました。この調査で被験者は「将来についての計画を立て、計画を
実現することを楽しんでいる」という文章や、「自分の日常行動はささいなことで、重要ではない」という文章に対して
自身がどう感じるかの評価を行い、研究者らは被験者が持っている「人生の目的」の度合いをスコア化したとのこと。
被験者のうち776人は調査期間中に亡くなっており、研究者は上記の「人生の目的」スコアを、被験者の回答後5年の
死亡率と比較しました。
この結果、人生の目的スコアが低い被験者は、追跡調査中に死亡する割合が、スコアの高い被験者に比べて2倍も
高いことが判明しました。また、スコアの低い被験者は特に心臓や血管の問題によって死亡していることが多かったそうです。
なお、この結果は被験者がうつ病であるかなど、影響があると考えられる要素を考慮しても変わりませんでした。
ミシガン大学の博士課程学生であるAliya Alimujiang氏は「人生の目的を持つことにマイナス面はなく、プラス面があるように
思えます」とコメント。研究者の次なる課題は人が「人生の目的」を向上させるような介入は意味があるのかや、人生の目的を
増やすことがQOLや健康上のメリットに役立つのかどうかを調べることだとのこと。
幸福や健康のカギとなるのは「自分の人生に意味がある」と感じることだということはこれまでにも研究で示されており、
この分野は近年注目されるところとなっています。例えば、炎症は早死にや疾患と関係しますが、「人生に対する目的意識」の
ようなウェルビーイングが炎症のトリガーとなる遺伝子発現を減少させることが過去の研究から判明しています。
Alimujiang氏は、今回の研究結果は、人生の目的を持つことにより炎症が減少する点が長寿と結び付いたのだとみているとのこと。
一方、今回の研究は「逆の因果関係」、つまり「慢性疾患や生命に関わる病気が人生の目的を奪った」という可能性を
排除していないというところに限界があります。慢性疾患や命に関わる疾患の患者を除外した追跡分析でも同様の結果が
示されたとのことですが、偶然という可能性を完全に否定できるものではないとAlimujiang氏は述べました。
https://gigazine.net/news/20190608-life-purpose-mortality-decrease/