「悲しい現場、もう見たくない」女性消防士が白バイ隊員に 決意の転職
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「交通事故は起きてからでは遅い。悲しい現場はもう見たくない」‐。福岡県警久留米署交通第1課の嘉場悠(よしばはるか)さん(27)は今春、念願の白バイ隊員になった。前職は消防士で、5年間、救急隊員として人の生死に直面した。悲惨な事故を少しでも減らしたいと転職を決意し、交通違反の取り締まりに力を入れている。
【写真】白バイを乗りこなす嘉場悠さん
嘉場さんは高校卒業後、「人命を守る仕事がしたい」と、福岡市消防局に入った。5年目のある日、乗用車と歩行者の事故が転機となった。現場では、乗用車の若い男性が取り乱した様子で「人生終わった」と何度も繰り返した。一命を取り留めた歩行者は植物状態になった。
「これまでの生活に戻れない被害者だけでなく、加害者も責任や罪の意識を一生背負っていく」。事故を未然に防ぎたいとの思いを強くし、その年、22歳で県警の採用試験に合格した。
実は、警察官への挑戦は2度目だった。高校時代は陸上部に所属。駅伝大会で、選手を先導する白バイ隊員の姿に憧れて受験したが失敗。それでも、救急隊員時代に白バイを運転することができる大型二輪免許を取得した。
県警で白バイ隊員を配置する警察署は33署。総重量300キロ近い白バイを乗りこなす厳しい条件をクリアした隊員107人のうち、女性は現在5人だけ。交通第1課の福永甲史課長は「交通違反者に対し1人で判断して取り締まる。追跡する運転技術、豊富な知識と判断力、緊急時に動じない冷静さが必要」と話す。
嘉場さんは先輩の指導を受けながら、パトロールに出動している。「逃げたり抵抗したりする違反者もいる。でも伝えたい。『あなたの人生を守りたいから取り締まるのだ』と」