地震波で調査「地盤が安定」
吉備高原は中国山地と瀬戸内海の中間に位置し、兵庫、岡山、広島の各県まで連なる
標高300〜700メートルの山々からなる。
近年、さまざまな研究により、吉備高原は地盤の強固さが明らかになってきている。
平成29年に行われた日本地質学会の学術大会では、東北大教授らが、地震波を使って
地球の内部構造を3次元的に解析する「地震波トモグラフィー」と呼ばれる観測手法での調査結果を発表。
吉備高原のある地域は地下20キロまで固い一枚岩盤からなっており、他の地域よりも地盤が安定している可能性が高いことが分かった。
またNPO法人「地球年代学ネットワーク」(岡山県赤磐市)のメンバーが吉備高原に位置する
同市北部の川の地層を調べたところ、南北40キロにわたって3400万年前から流路が変形していないことが判明。
地球年代学の研究者でもある同法人の板谷徹丸理事長は
「(大陸から日本列島が分離して)日本海が開けた大変動の影響も受けず、高原の地形は安定しているようだ」と説明する。
降ってわいたような印象もあるかもしれないが、作家の高嶋哲夫氏が、直下型地震で東京が壊滅的な被害を受け
世界恐慌を招く小説「首都崩壊」(26年・幻冬舎)で、吉備高原が首都機能の移転先に選ばれることを描いており、
このときにも注目を浴びていた。