かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と評された日本は、巨額の貿易黒字を記録。1980年代には自動車や鉄鋼、
半導体などの分野で米国と摩擦が絶えず、89〜90年には日米構造協議が行われて、輸入を阻む日本の社会構造にメスが入った。
しかし、95年のWTO発足で紛争解決の場ができたことから、日本も活用に乗り出し、これまでに26件提訴。訴訟が終わった21件について
日本は「19勝」と主張、9割と高い勝率をアピールしている。
日本がWTOに提訴した案件
「勝訴」
•二国間合意で終了(1件)
•相手国が是正など(3件)
•上級委、パネルで「勝訴」 (15件)
合計 19件
事実上「敗訴」 合計 2件
係争中の案件 合計 5件
勝率の高さは「すぐに勝てそうな紛争しか提訴していない」(貿易制度の専門家)ことも背景にあるようだ。
米トランプ政権が2018年、「安全保障上の脅威」を理由に発動した鉄鋼・アルミニウム追加関税では、欧州連合(EU)や
カナダなどが相次ぎ提訴したが、日本は見送った。
一方、敗訴は「韓国の日本産水産物輸入規制」(19年4月に上級委が一審判断を破棄)など2件。
さらに、逆に日本が訴えられる可能性のある案件も急浮上している。日本は元徴用工問題で関係が悪化した韓国に、
半導体製造に必要な材料の輸出規制を強化したが、韓国はWTO提訴を検討している。
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h00503/