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「沖縄の海には恨(ハン)を感じる」 韓国テレビ局、朝鮮人遺骨の発掘・返還めざす
韓国のテレビ局「釜山MBC」が日韓の交流をテーマにしたドキュメンタリーを制作している。スタッフ4人が25日から沖縄県を訪問し、沖縄戦で動員され戦死した朝鮮人の遺骨発掘について取材している。
番組プロデューサーのリー・ソンギュさんは「いまだに遺骨が遺族に返されていないのは残念。番組を通して韓国政府にも支援を訴えたい」と意欲を示した。
28日、スタッフは米軍の空襲で沈没した旧日本軍の船の乗組員の遺体を本部町健堅に埋葬した、同町の中村英雄さん(89)にインタビューした。
この遺体14体のうち2体は朝鮮人だと確認されている。
東アジア共同ワークショップのパク・ジンスク事務局長が通訳し、当時の朝鮮人の生活や埋葬時の様子を聞き取った。
中村さんは「どの国の人でも死んだら思いを口に出せない。遺骨の発掘と返還は生きている人の義務だ。日韓政府の職員が、身内が亡くなったという気持ちでやればできる」と望んだ。
リーさんは5年前、旅番組制作のため沖縄を訪れた際に沖縄戦を知ったことから、今回、取材地の一つに選んだという。
「沖縄の海には『恨(ハン)(複雑な悲しみ)』を感じる」と指摘。
県内で「県本部町健堅の遺骨を故郷に帰す会」が結成されるなど、返還の動きがあることには「日本人が関心を持ってくれていることに驚いたし、うれしい」と話した。
番組のスタッフと話をした「健堅の遺骨を故郷に帰す会」の沖本富貴子共同代表は「沖縄戦の犠牲になった朝鮮人の遺骨が返還された例はまだない」と指摘。
「韓国では、戦争被害者の遺骨返還に向け政府内に専門の部門ができており、沖縄の朝鮮人遺骨にも注目していると思う。今後もきちんと遺族への返還を目指して活動したい」と話している。
一行は8月2日まで滞在する。番組は11月に韓国で放映予定。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/451923