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香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は先週行われた実業界首脳との非公開会合で、行政長官を辞任したいと述べた上で、
現在の政治危機を解決する余地が自分には「ほとんどない」と語ったと、ロイター通信が伝えた。
同会合での林鄭長官の発言の録音物を入手したとした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-03/PX8GQF6K50XU01
それによると、同長官は英語で、「自由に選べるなら最初にすることは深く謝罪して辞めることだ」と発言した。
また、問題は「主権や安全保障のレベル」にまで高まっており、「さらに世界2大経済国の前例のない緊張関係の中」、
自分にはほとんど選択肢がないと語ったという。林鄭長官の報道官はロイターが報じた内容についてコメントを控えた。
香港当局は沈静化を呼び掛ける一方で、3カ月前にデモが始まって以来最も激しい衝突となった先週末には、
過激なデモ隊が「テロの兆候」を示したと警告した。
林鄭長官は先週の会合で、中国の建国70年を祝う国慶節を10月1日に控えているが、
中国政府は香港の危機収束に期限を設けていないと発言。中国は人民解放軍の香港の市内への配備を計画していないとも述べた。
市内に配備されれば軍事弾圧につながりかねないと懸念されている。
同長官は、「中国はそうした場合、大き過ぎる代償を払うことになると分かっている」とし、
「中国は国際社会での評価を気にしている」と説明した。
林鄭長官はまた、香港政府が中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の制定を目指したことで
危機が始まったとして自らの責任を認め、中国政府ではなく自分が引き起こしたことだと釈明。
「香港市民の間に中国本土へのこれほど強い恐怖や不安があること」を自身の政府は把握できていなかったとし、
「行政長官が香港に大混乱を引き起こしたことは許されることではない」と語った。