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<金口木舌>金のために魂を売ってはならない
「人が制御できないなんて恐ろしい。政府はいつも『大丈夫』と発表するが、本当のことを言っていない」。
1999年9月30日、茨城県東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の東海事業所で臨界事故が発生した。
当時、近所に住んでいた女性は8歳の頃に感じた恐怖を語った
▼女性は窓を閉め切り、クーラーを止め、蒸し風呂のような室内で家族と報道番組を見ていた。
「重体」と伝えられた作業員2人はその後、死亡した
▼事故で住民600人以上が被ばくした。
冒頭の女性は2011年、福島第1原発の事故を受けて取材に応じた。
「原子力のデメリットを国民は知っておく必要がある」と語っていた
▼JCOの事故は安全を守るマニュアルを無視し、簡略化した手順で作業が行われる中で起こった。
根拠のない「安全神話」が命を奪い、住民を危険にさらした
▼事故後も「安全神話」は生き続け、福島の事故につながった。
一方で現在、関西電力役員らの金品受領が明らかになっている。
金品は高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役から贈られた
▼11年9月、東海村の村上達也村長(当時)は「原子力に向き合う姿勢を正し、金のために魂を売ってはならない」と述べた。
東海村と福島の事故を経験しても、なお原子力の利用は必要と考えるのか。住民主体で議論を深めていく必要がある。
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1001110.html