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県が発表した8月の入域観光客数は102万1200人と対前年同月比で1万6700人(1・6%)減少したが、中でも韓国客は、同44%減の2万3500人と減少幅が大きかった。
県は韓国人の訪日自粛や航空路線の減便を理由に挙げ、9月以降も引き続き厳しい状況を予想している。
8月に沖縄を訪れた外国人観光客は台湾と中国本土からが全体の6割以上を占め、韓国からは8・3%で香港の10・6%に次ぐ。
ただ民主化デモの影響で香港客も減少している。国内客は横ばいだが、外国客は同5・7%減になった。
沖縄観光は全体としては堅調に推移しており、韓国客と香港客の減少が「ダブルパンチ」とまでは言えないが、今後に不安を残すことは事実だ。
沖縄観光コンベンションビューロー(ОCVB)は9月27日、韓国ソウルで「沖縄セミナー・商談会」を開き、改めて沖縄をアピールした。
玉城デニー知事も記者会見などを通じて韓国語のメッセージを発し、沖縄を訪れるよう呼び掛けている。
韓国客の減少を食い止めるため、行政や民間として、できる限りの努力を尽す意気込みは買う。しかし費用対効果を考えれば、空回りの可能性が高いのではないか。
日韓関係の悪化は直接的には徴用工問題に端を発しているが、根底には日韓の歴史認識の違いや、韓国での長年にわたる反日感情の蓄積がある。
文在寅(ムン・ジェイン)政権の誕生をきっかけに反日マグマが噴出したとも言える状況だ。文政権後に期待を寄せる声もあるが、いったん解放された反日パワーは次期政権でも容易に引っ込めることはできまい。
訪日客数の回復は短期間では望めないどころか、中長期的に続く可能性が高いと見るべきだろう。
玉城知事のメッセージを読んで特に感じたが、沖縄の「チムグクル」を訴えれば韓国客が戻るかのような甘い考えは、きっぱり捨てたほうがいい。
むしろ、その熱意とエネルギーを、よりリスクの少ない国や地域からの観光客誘致に振り向けるほうが賢明だ。
ところで、沖縄が迎えつつある観光客1千万人時代は「量から質」重視の観光への転換期になり得るという見方がある。
クルーズ船で訪れる観光客は、ひとかたまりの集団として多額の買い物をするため経済効果は大きいが、陸上では宿泊しないため、駆け足観光になりがちだ。
沖縄に何泊もして、じっくりと自然や文化を楽しんでもらえる観光客の誘致に、さらに力を入れるべき時期が来ている。
欧米や東南アジアといった新たな市場も魅力だが、やはり観光客の大多数を占め、根っからの「沖縄ファン」も多く含まれる国内客を大切にしてほしい。
少子化や個人旅行の増加で、国内客に的を絞った誘客は採算的に厳しくなりつつあるかも知れない。
だが、ともかくも観光客1千万人時代が目前になったことは、これ以上「数」を躍起になって意識しなくてもいい時代の到来を示しているのではないか。