急増する野生動物密売、熊胆の密猟が「一大産業」に インド
2019.12.22 Sun posted at 13:53
(CNN) インド中央部に位置するマディヤプラデシュ州で5年以上にわたり、
バラバラに切断された熊の死体が至る所で見つかっていた。
死体の多くは、生殖器と胆嚢(たんのう)が切除されていた。
この謎を解明するため、同州森林局は特別対策委員会を立ち上げた。
同委員会の野生動物部門の責任者リテシュ・サロシヤ氏によれば、
容疑者の目星はついているという。その男は、2014年にも
ナマケグマと虎の密猟で逮捕されている。
男は1年間服役した後、保釈中に行方をくらましていた。
また調査官は、熊の死体から臓器の一部が切除されていた理由についても
仮説を立てていた。熊の胆嚢からは胆汁が取れる。
胆汁は肝臓で生成される液体で、アジア各国の伝統薬に使用される。
胆汁の主成分のひとつであるウルソデオキシコール酸は、
胆石の分解や肝疾患の治療に役立つことが医学的に証明されている。
しかし、その他の用途については、科学的な証拠は存在しない。
ほとんどのアジア諸国は、熊から作られる製品の国内販売を法律で禁じており、
さらに国際貿易に関しても「絶滅のおそれのある野生動植物の種の
国際取引に関する条約(CITES)」で禁じられている。
しかし市場は巨大で、アジア各国にある、熊の胆汁採取を目的とした
「農場」には数千頭の熊が拘束されている。
この農場では、消費者の需要を満たすため、胆汁が
常時抽出されるよう熊たちを生きたまま閉じ込めている。
(中略)
熊胆が取り引きされる大きな理由のひとつが伝統的な中国医学だ。
中国では何千年もの間、胆汁が伝統的な薬剤として利用されてきた。
唐の時代の医学関係の書物にすでに登場しており、かぜや二日酔い、
心臓の疾患などに処方された。
1950年代に入って合成的に作られるようになっても、
民間療法を信じる人たちは天然由来のもののほうを好んでいる。
(後略)
https://www.cnn.co.jp/world/35146731.html