安倍晋三首相は25日、習近平国家主席との会談など3日間の中国訪問日程を終えて帰国した。
中国側は来春の習氏の国賓訪日をにらみ、習氏主催の夕食会や、李克強首相が同行する地方視察などで安倍首相を厚遇した。
安倍首相と李氏は25日、四川省での会談と昼食会の合間に、付近の世界文化遺産の水利施設「都江堰(とこうえん)」を視察。
李氏は会談で「視察は私としてのおもてなしだ」と述べ、安倍首相も「視察の同行、昼食会への招待など温かく行き届いたおもてなしに心から感謝する」と応じた。
安倍首相は昨年5月の日本での日中韓首脳会談の際に、李氏の北海道視察に付き添っており、「中国側から『返礼としてぜひ安倍首相を案内したい』との申し出があった」(外務省関係者)という。
中国共産党ナンバー2の李氏が外国首脳の地方視察に同行することは珍しく、昨年の返礼としても別格扱いだ。
背景には、尖閣諸島問題や相次ぐ邦人拘束などで日本国内の対中世論に改善の兆しがみられないことがある。
習氏訪日を巡っては、自民党内から国賓扱いに異論が出ている。中国側としては、江沢民元国家主席、胡錦濤前国家主席はいずれも国賓訪日しており、両氏を超える権威を確立した習氏が国賓以外で日本を訪れることは難しい。
このため安倍首相を厚遇して日本に前向きなメッセージを出すことが国益になると判断したとみられる。
「首相」より格上の「大統領」の韓国の文在寅氏は24日深夜に帰国しており、文氏とのバランスに配慮する必要がなくなったことも安倍首相への別格扱いを可能にしたようだ。
都江堰は約2200年前の秦の時代に造られ、豊かな恵みをもたらしたことから秦の中国統一に大きく貢献したといわれる。
今も農業用水や生活用水などを供給していることから内外から多くの視察団が訪れている。【成都・青木純、浦松丈二】
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