視覚障害者への理解を促進しようと、アイマスクをしてお寺の中を歩くイベント「暗闇お寺体験」が人気だ。
視覚以外の感覚を研ぎ澄ますため、「普段、いかに耳や鼻を使っていないか気付いた」「音がよく聞こえるようになった」との反響も。
2020年には東京でパラリンピックも開催される。主催者は「目が見えなくても、工夫次第で楽しめることを伝えたい」と思いを語る。
イベントは視覚障害者を支援するNPO法人みのり(埼玉県上尾市)が毎月、市内の遍照院で開催。
毎回10人前後が参加し、視覚障害者の関係者だけでなく、視覚障害に関心を持った近所の主婦らからの申し込みも多い。
「もうすぐ階段があります」「左に曲がって」。アイマスクで視界を閉ざした参加者は、NPOスタッフの声掛けと誘導を頼りに寺の中を歩き、階段を上るなどして動き回る。
暗闇の中で、仏具を触ったり、住職の法話を聞いたりもする。
11月に参加した主婦香月彰子さん(51)は「介助者の案内があり、安心して身を委ねることができた。普段より耳や手を頼りにした」と振り返る。
イベントでは、茶菓子もアイマスクで楽しむ。参加者に配られるのはサイダー味やレモン味など13種類のコンペイトー。
「最初は何味か分からなかった」「普段、見た目の色に味覚が左右されていると気付いた」との感想も多いという。
イベントは同法人理事の岡田純子さん(50)が発案。
視覚障害を持つ子どもたちが寺で太鼓の音を聞いたり、千手観音を触ったりして喜ぶ姿を見たのをきっかけに、遍照院に協力を呼び掛けて始まった。
自らにも視覚障害者の娘がいるという岡田さんは「目が見えなくて『かわいそう』ではない。介助をすれば歩くこともできる。目を閉じて楽しんで」と話している。
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