■現場経験、西日本豪雨で生きる
−−総社市は全国の被災地に職員を派遣する条例を制定していますね
片岡 平成23年の東日本大震災以降、被災自治体の要請を待たずに自発的に被災地に赴く支援を行っています。
市税を使う根拠として条例を平成25年に定め、毎年1000万円の予算を可決しました。
昨年までに市職員561人のうち177人が支援を経験しました。その経験が西日本豪雨で被災地になったときに役立ちました。
−−というと
片岡 行政はどうしても公平平等を重んじますが、それでは対応は後手に回り状況を悪化させてしまいます。
28年の熊本地震では余震を恐れ、多くの人が車中泊し、エコノミークラス症候群で体調を崩しました。
そこで、登山家の野口健さんとテント村を開設し、156世帯571人を収容しました。
この時も誰を収容するのかについて公平性への疑義が示されましたが、
被災者の健康のために急を要すると地元自治体を説得し実現しました。
−−そうした判断力、行動力は被災地の現場で支援を体験して初めて分かるということですね
片岡 防災訓練だけでは身に付きません。総社市は被災地になって、すべての支援物資を受け入れました。
これも他の自治体への支援の際、行政が善意の支援物資を断っているのをみて教訓としました。
古着や食器、子供の玩具などすべてボランティアが整理し磨き、“宝物”に変えてくれました。
フリーマーケット方式で被災者に開放し、ひとつ残らず役立てていただきました。
善意に無駄なことはありません。受け入れ上手になることで支援の輪がどんどん広がるのです。
−−あるボランティアは体験ブログで総社市に支援に行った理由を「受け入れ体制がしっかりしている」と書いていました
片岡 歌手のさだまさしさんからもそうした手紙をいただき、地元の高校生ボランティアを支援していただきました。