豊胸用のシリコン樹脂に銃弾が命中して女性の命が救われる事件が発生
「胸ポケットに入れていたモノが銃弾を止めた」というのは映画だけでもなく、
現実に起こりえることが確認されています。今回、銃弾を止めて命を救ったモノは、
女性の胸に埋め込まれていた豊胸用の「シリコン樹脂」でした。
この事件はカナダのオンタリオ州で発生しました。犯人は見つかっていないため事件の
詳細は不明ですが、被害者自身は「通りを歩いていたら左胸に熱と痛みを感じ、
血が流れているのが見えたため自力で救急病院に向かった」と証言。
この救急病院で行われた臨床検査によって、左側の乳頭上部に弾痕が確認されました。
穴の周辺の皮膚は熱傷になっており、この熱傷は銃口から出た発火炎(マズルフラッシュ
)によって付けられた、すなわち銃弾がかなりの至近距離で発射されたことを示唆していました。
また、触診の結果、弾痕の存在した左胸側とは逆の右胸側の皮下に弾丸のようなかたまりの
存在が確認できました。
行われた外科手術によって、両胸のシリコン樹脂が除去され、弾丸が摘出されました。
以下が右胸側のシリコン樹脂。弾丸の通過痕が残されています。摘出された弾丸は、
警察の調べによると被甲が銅製の40口径弾とのこと。
手術が成功後、研究チームはCTスキャンや臨床的な証拠を元に、「銃弾がどのように
胸部のシリコン樹脂を通過したか」について解析を行いました。その結果、「左胸の
シリコン樹脂が弾丸を偏向させなかったならば、弾丸は胸壁を直接通過して、
心臓に直撃していた可能性がある」ことが判明。研究チームは、左胸骨は骨折しておらず、
右胸の胸骨が骨折していたという事実は着弾時に銃弾が十分なエネルギーを有していたことを
示唆しているとして、「この弾道の変化は弾丸がインプラントに当たったことによるものとしか
考えられない」と述べています。
https://gigazine.net/news/20200422-breast-implant-deflecting-bullet/