週刊新潮 2020年6月18日号掲載
国立感染症研究所の推計で、今季のインフルエンザの患者数は728万人余り。
新型コロナ感染対策の効果で、昨季の約1200万人から大きく減ったが、それでも死者数は1万人を超えたとみられる。
新型コロナはインフルエンザをはるかに超える被害が想定されながら、接触減によって抑え込めたのか。
西浦教授は緊急事態宣言後も、接触減が不十分だと強調したが、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授は、
「専門家会議で示された資料を見ると、3月28日には感染状況がピークアウトしていたのがわかります。
緊急事態宣言前の自粛で十分だったということで、宣言は過剰防衛だった、と私は考えています」
と言い切り、指摘する。
「42万人が亡くなる、という西浦教授の試算も現実的な数字ではない。現に8割削減は達成できなかったのに、感染拡大は抑えられました。
そもそも数理モデルには、いくつか問題点があります。
42万人が亡くなるのは、なにも対策をしなかった場合ですが、現実にはあり得ない設定です。
たとえば毎日の手洗いの回数も、一人一人の対策や生活習慣でまったく異なるのに、
多くの条件を設定すると式が複雑化して計算できず、接触8割減という単純化した変数でしか測れないのです。
人間は心をもった存在なのに、その動きを物理学のように物体の運動量で推し量ることに、どれだけ有効性があるのでしょうか」
しかも、8割おじさんの都合で「接触」だけが変数とされたため、感染対策も手洗いなどの基本が忘れられた感がある。
だが西浦教授はお構いなしで、5月下旬、あらたな試算を示した。
流行前のような生活を続ければ、東京都内の感染者数は7月中に1日100人以上になるが、
人との接触を30〜50%減らせば、新規感染者数を低水準に保てる――と。
“8割おじさん”西浦教授またも扇動? 感染1日100人超、99%大流行…本人に聞く
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06170559/?all=1