
緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」では体系的な人種差別がはびこっており、
人道支援業務が植民地主義を増長させている──このような内容の文書に職員と元職員ら1000人が署名した。
同文書には、MSFが「特権がある少数派の白人」による「何十年にも及ぶ権力と家父長主義」に目をつぶり、
方策や採用活動、職場環境、それに「人間性を失わせる」プログラムを通して人種差別を永続的なものにしたと記されている。
文書では上層部や職員に対し、抜本的な改革を早急に行うよう求め、また組織内の人種差別主義に対する第三者による調査も呼び掛けられた。
MSF英国のジャビド・アブドルモネイム理事長、MSF南アフリカのアグネス・ムソンダ会長、
MSFドイツのフロリアン・ベストファール事務局長も同文書に署名している。
MSFは途上国や紛争地帯で暮らす人たちに緊急医療を提供する世界最大の人道支援組織の一つで、1999年にはノーベル平和賞を受賞した。
この文書は、人種差別主義および反人種差別主義運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」に対する組織内部での意見の相違を受けて作成された。
発端はMSFイタリアによる提案だった。
MSFイタリアは、「人種差別」という言葉を使うべきでなく、「MSFを始めとした全員」が「すべての命は大切」であると声を上げるべきだと提案し、
これに一部から激しい反発が起きた。 MSFイタリアは後日、「世界中の職員を傷つけた」として謝罪している。
英紙ガーディアンが報じたところによると、ある職員は、MSFでは白人の救世主精神が「息が詰まりそう」なほどあふれていると文書に記していたという。
「国境なき医師団」の白人特権と家父長主義、関係者1000人が糾弾
https://news.yahoo.co.jp/articles/efbb41bfd0f2f8b5184c43bab55fd64eb6393080