串本海中公園センター水族館(和歌山県串本町)は、水族館前の紀州灘で採集されたエビが新種と分かったと17日発表した。海外の学術誌に掲載された。発見場所の紀伊半島にちなんで和名の頭に「キイ」とつけられた。
採集した水族館主任学芸員の平林勲さん(29)によると、2018年5月にダイビングをしていて、水深14メートルの海底の石の裏に体長約1センチの半透明のエビがいるのを発見した。
見慣れない種類だったので、エビの分類の専門家の千葉県立中央博物館の駒井智幸・動物学研究科長に識別を依頼。国内では3種類しか見つかっていない「カギテシャコエビ」属の新種と分かった。
このエビは、これまで世界で15種類が見つかっている。カギのような脚が特徴で、今回採集されたエビは、脚のとげの数や大きさなどが他種と異なっていた。
駒井科長が新種と判断。平林さんと二人で、紀伊半島にちなんで和名「キイカギテシャコエビ」(学術名ノウショニア キーエンシス)と名づけた。共著の論文が7月15日付でニュージーランドの学術誌「ズータクサ」ウェブ版に掲載された。
採集したエビは標本にされて同博物館へ送られた。平林さんは「串本から新種が見つかるのは、とてもうれしい。追加のエビが採集できれば、水族館で展示し、広く知ってもらいたい」と話した。(直井政夫)
https://www.asahi.com/articles/ASN7N6X22N7KPXLB00G.html