Aさんは今年5月から約2カ月近くコロナ病棟に派遣され、感染した入院患者の看護に当たった。
彼女が担当していたのは、次々に運び込まれるコロナに感染した新宿・歌舞伎町のホストやキャバクラ嬢たち。
Aさん自身は家庭内への感染を防ぐために家族にも会えない孤独の中で、コロナ病棟担当という重責を必死で果たしていたという。
■傍若無人ぶりは想像以上
コロナ病棟には80代、90代の高齢者も入院したが、歌舞伎町に近いという土地柄、“夜の街”関連のコロナ患者が大半を占めていた。
特にホストの傍若無人ぶりは想像以上だったという。
「保健所や行政の要請もあり、看護師が感染ルートなどの聞き取りをしなければならないのですが、20代のホスト患者たちは当初、
感染ルートが明らかになるとお店が営業停止になってしまうので、何も話してくれませんでした。
お店側から口止めされていたようです。でも住所が歌舞伎町だったりするんです。
何日かして打ち解けるようになって、『自分はホストで職場は〇〇です』と感染ルートを話してくれる人もいました。
看護師は朝に患者の検温や症状、便や食事の量をチェックしたりして医師に報告しなければいけません。
しかし、ホストたちは職業柄、昼夜逆転の生活なので、病院でも朝起きてくれず、無理に起こすしかありませんでした。
病院の食事も『今、食べます』と言いながら、平気で半日以上放置されました。
また、コロナ病棟の患者さんは、酸素飽和度を測るために『SpO2モニター』という機器を指先に装着してもらっていますが、
深夜3時、4時に勝手にモニターを外して病室にあるシャワーを浴び始めたこともありました。
すると、ナースステーションにあるモニター計から反応が消えるので、急変したんじゃないかと看護師が慌てて病室に様子を見に行かないといけません」
「軽症だったホストのコロナ患者からは、『食事が足りない』『味付けが薄い』と不満が出ていました。
夜勤中だった深夜2時にナースコールがなり、『お腹が空いたからカップラーメンを買ってきて』『お弁当が食べたい』『炭酸水を飲みたい』などと
言われることが何度もありました。
コロナ患者は自由に院内を移動できないため、紙に要望を書いてもらい、
セーフティーゾーンの看護師に代理を頼んで院内にあるコンビニへ買い出しに行ってもらうことになります。
病室にはお湯がないので、ナースステーションからポットにお湯を入れて病室に持っていき、
防護服を着ながらカップラーメンの容器にお湯を注いでいるときは、『私は何をしているんだろう』と涙が溢れてきました」
本来であれば、入院している身なのでカロリー計算されている病院食のみを摂ってもらうのが原則です。
しかし、他の病棟の患者は我慢しているのになぜかコロナ病棟だけは、そんなワガママに応えることがまかり通っていました」
全文は
https://bunshun.jp/articles/-/39063