世界自然遺産登録への期待が高まるやんばる地域で、道路の標識や電柱などへの落書きが増え、地元自治体は「景観を損ねる」と頭を悩ませている。
国頭村の奥間林道沿いに立つ「STOP(ストップ) Road Kill(ロードキル)」の黄色い看板。日本航空(JAL)グループが設置に協力し、やんばるの生き物を守るためにドライバーらへ注意を促す。
そこに「BBC」や「ECJ」などのアルファベットの文字がペンキのようなもので書かれている。
同村世界自然遺産推進室によると、ロードキル防止の看板は今年8月に被害が発覚。通行人から目撃情報があった。
ヤンバルクイナやノグチゲラ、リュウキュウヤマガメなど、他の地域では見られない固有種や希少種の多いやんばる地域。生物多様性を守ろうと注意を呼び掛ける看板への悪質ないたずらだ。
同推進室の田邊依里子室長は「同一人物によるものなのか不明だが、看板の意味も分かった上での落書きと認識している」と指摘する。
落書きは昨年秋ごろから増加し、林道の他にも国道や県道にも点在。田邊室長は「全てを把握しきれていない状況」という。
村経済課は今年4月以降、村管理の林道8カ所で標識やガードレールの落書きを確認。白く上塗りして目立たないようにした。
村森林公園近くの電柱やガードレール、大宜味村塩屋にある「ようこそ やんばる国立公園へ」の看板裏にも被害があった。いずれもロードキル看板に書かれた字体と似ている。
やんばる3村世界自然遺産推進協議会会長の知花靖国頭村長は「世界自然遺産登録に向けて地元意識を醸成したい今、こんな事態が金輪際、発生しないことを心から願う」と訴えている。(社会部・山城響)
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/amp/636412