<あいちの民話を訪ねて>(25)毛替地蔵(名古屋市天白区)
名古屋市天白区の鳴海街道沿い。一四四二年に建てられた「島田地蔵寺」には、馬の毛色を変えたという地蔵が安置されている。
一丈六尺(約四メートル八五)の大きさで、右手に錫杖(しゃくじょう)、左手に宝珠を持って座禅している。神野哲州(じんのてつしゅう)住職(72)によると、地獄に落ちた人をも救う慈悲深い地蔵だという。
寺には、同市瑞穂区の仁所(にしょ)町で古老から伝わった別の毛替え話も残る。「戦国時代には戦いに備えて、黒い馬が農民から集められた。
だが、貴重な馬を渡したくない農民たちが米粉を振って白くした馬を差し出した。島田のお地蔵様が色を変えてしまったと言うと、役人は黙って帰っていった」。神野住職は「皆の罪をかぶったことが、全ての人を救う仏といわれるゆえんかも」と話す。
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