菅義偉(すが・よしひで)首相に正しい情報が上がっていないのではないか−。
新型コロナウイルス感染対策をめぐる首相官邸の対応に対し、永田町や霞が関で不信感が高まっている。
首相は27日、ワクチン接種を加速させるため、岸信夫防衛相に自衛隊の医師資格を持つ医官らによる大規模接種会場を東京都内に設置するよう指示した。
高齢者の多い都市圏でのワクチン接種を急ぐ考えだが、「焼け石に水だ」(自民党中堅)など政権への批判は強い。
危機管理に強いとされる首相の実行力に疑問符が付くのはなぜか。
実は答えはシンプルだ。
官邸や与党、官僚ら複数の関係者の話によると、側近に政策判断を任せることが少なくなかった安倍晋三前首相と違い、菅政権は重要政策の大半を首相が決めている。
「菅首相に菅官房長官がいない問題」は政権最大の“弱点”といわれるが、コロナ禍でそれが浮き彫りになりつつある。
その典型がワクチンへの対応だ。
首相はワクチンについて国会答弁や記者会見で「切り札」であり「武器」だと述べている。
官邸は2度目の緊急事態宣言を解除した3月以降、7月の東京五輪開幕までの間に国民にワクチン接種を広げ、感染を押さえ込む戦略だった。
昨年9月の政権発足以来、内閣支持率は感染状況が悪化すれば急落し、好転すれば再び上昇に転じる動きを繰り返している。
今秋までの衆院選を踏まえ、衆院解散へのフリーハンドを握って求心力を高めるには、ワクチン対応は「政権の命綱」(官邸筋)だ。
(後略)
https://special.sankei.com/a/politics/article/20210430/0001.html