有事において適切に使える制度とするために
冒頭に記載したように「退避を求める人たちが空港に着いておらず、退避希望者を運び出すことはできなかった」ことが報道されています。しかし空港外の市内には退避希望者がいるにもかかわらず、なぜ、自衛隊はその人達を運び出すことができないのでしょうか。
在外邦人輸送の条文84条の4を読むと、要件として、外務大臣からの依頼と、外務大臣と防衛大臣との協議により、「当該輸送を安全に実施することができると認める」ことが求められています。
そのため、すでにカーブル空港にいる人であれば輸送機に乗せることができるのですが、カーブル空港までの道程においては、現地の治安状況が輸送を安全に実施する状況にない以上は、退避希望者がいたとしても自衛隊が輸送を実施することができません。結果的に、退避を希望する現地邦人らは自力でなんとか空港までたどり着かねばならないのですが現実には極めて困難な状況にあるのだと推察されます。
自国民を保護するのは国家の責務であり、海外において戦争や災害といったような状況になった場合、当該国に所在する邦人を救出するのは国家の果たすべき役割であると言えるでしょう。
全文は
https://news.yahoo.co.jp/byline/tagamiyoshikazu/20210827-00255199