「今も同じことをやったら全員退場だろうね」
かつて「テコンドーでもやっているのか」と揶揄された自国のスタイルについてそう語ったのは、韓国サッカー界のレジェンドであるチョ・ミングクだ。
80年代後半から90年代初頭に、韓国屈指のタフガイとして活躍したチョ・ミングクは、CBからアタッカーまでこなすマルチロールとして、
2度のワールドカップ出場(86年、90年)を果たした。
引退後は、国内の強豪クラブを率いてタイトル獲得に導き、指導者としても結果を残した。そんな58歳のレジェンドが、
1月6日付けの韓国紙『日曜新聞』のインタビューに登場。同国史上2度目の出場となった1986年のメキシコ・ワールドカップを振り返った。
当時は、世界的に見れば弱小国だった韓国は、1次リーグでアルゼンチン、イタリア、ブルガリアと同居。
とりわけ大会覇者となったアルゼンチンの「ナンバー10」との対戦は、チョ・ミングクにとっても印象深いものになっているようだ。
「あの大会は事実上、我々が初めて出場した本大会と言っていいのではないだろうか。それぐらい当時の韓国は未知の存在だったよ。
そんな世界的な舞台で対戦したマラドーナにはとくに驚かされたよ。彼は試合前に『さ、ウォーミングアップだ』と言って、
我々の目の前を通り過ぎていった。でも、実際に対峙してみると、彼の胴体やふくらはぎは僕らの2倍はあった。それでいて、
あのスピードで駆け抜けるのだから、差は歴然だった。まるで熊と対戦しているようだった」
ただ、当時の韓国代表が檜舞台で見せたのは、相手との接触をまったく恐れない肉弾戦。
ラフプレーとは紙一重の荒々しいタックルの数々は、各国メディアに「テコンドーサッカー」と揶揄され、バッシングを受けた。
そんなプレーを「VARもある今のサッカー界で、同じことをやったらきっと全員退場だ」と
苦笑いを浮かべながら振り返ったチョ・ミングクは、こう続けた。
「とくにアルゼンチン戦は激しくいってしまっていたね。あの試合で私はスイーパーだったから、
試合全体を後ろから見守ることができたから分かる。先輩たちのことは本当に尊敬しているが、あまりにも粗いプレーをしていたよ」
https://news.yahoo.co.jp/articles/3781ca3db11f3bb6c1bdb660e546a125fca9daa7