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「意図的停電」でブラックアウト回避 北海道地震の教訓
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC177520X10C22A3000000/
16日夜に福島沖で発生した地震を受け、関東9都県で一時、約210万戸が停電した。
停電戸数は2011年の東日本大震災以来の水準で、過去3番目の多さとなった。
大規模停電(ブラックアウト)を防ぐため、電力供給を意図的に遮断する
システムが作動し、火力発電所10基以上が停止したことが背景にある。
電力は需要量と供給量が一致しないと周波数が乱れて、広域停電につながってしまう。
16日夜は地震を受けて火力発電所が緊急停止し、供給力が一気に低下した。
大規模停電を防ぐため、各変電所に設置してある周波数低下防止装置(UFR)が
一部地域への送電を止めた。需要を抑え、需給のバランスをとったとみられる。
2018年9月の北海道胆振東部地震では、主要な火力発電が停止し、
道内全域が停電するブラックアウトに陥った。完全に復旧するには数日を要した。
東電は供給力の低下に合わせて需要をあえて落とすことで、
意図しない最悪の事態を回避した格好だ。
具体的にどの地区を停電させるかは、東電があらかじめ区分けしたエリアの
需要に応じて、システムがランダムに決めている。
東日本大震災時の計画停電の際は東京23区の大半が対象にならなかったが、
今回は計画停電ではないため関東全域が対象となり、優先順位はない。
あくまでも一時的な措置のため、安全が確認できれば電力供給を再開できる。
16日午後11時59分には約210万戸が停電したものの、
17日午前1時9分には150万戸まで減少した。午前1時39分には29万戸まで一気に減り、
午前2時52分時点で停電はほぼ解消された。